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翌朝、僅かな期待を込めテン場を後に歩き出す。
ジップラインで3人も引っぱり朝から腕パン。
水俣川にかかる吊橋を渡り最初のヘツリを見ると明らかに減水している。
昨日の下見時点で私のヘソ100cm程だった水位が股程度の80cmまで低下、何とかなるかもしれない。
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時間はロスするが昨日来られなかった噴湯丘へ立ち寄る。
実際見ると何だか凄い。皆で写真撮影し感動、またゆっくり来てみたい。
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沢に復帰、噴気地帯を遡行、メガネが曇る。
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温泉が噴き出し熱い箇所もある。
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減水しきっておらずヘツリが厳しい。
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川幅が狭い箇所は水流も強くビビリながら通過。
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やはりまだ水位が高く170cmある女子でも胸近くの箇所もある。水圧も強くお助けスリングを出した。
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素晴らしい景観を遡行していく。
目安となる第1吊橋跡では私でヘソ下90cm程度で渡渉出来た。水流は強いがこの状態なら何とか行けるかもしれない。
ここで引き返す選択肢は消え進行。
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ガンダム岩を通過、岩のレベルとして難易度は高くないが下に水流があるので見た目が怖いかも。
この沢は全般に側壁の岩質がもろく、水に磨かれていない所は浮いている石だらけ、渡渉のルーファイもあるが落石への注意も常に必要だ。
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後続が追い付いてきた。
この日出会ったパーティでは我々が最もオールドパーティ、皆若い。たぶん私が一番年寄りだろう。
しかも皆さん荷物が小さい。テン泊でしっかり背負っているのは我々くらいか。
若くても小屋泊とか、テン泊でも飯は小屋とか、時代は変わったものです。
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渡渉を繰り返しながら進行。
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ちょっとしたヘツリも重荷なので慎重に。
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ちょっと深いとこにハマって動けず、水流で持っていかれそう。
あわててお助けスリングで引っぱる。
のんびり写真撮ってる場合ではなかったのでこれ以降は写真撮りは封印しルーファイと安全確保に集中した。
渡渉は少しでも水位の低い所を選ぶのがコツだが、どうしても石の上は不安定なので安定した川床に足をつきたくなってしまう。水流が強く思ったより水圧があるのでうっかり足を動かすと流されてしまうのだ。
身長差もあり私でヘソ下でも小柄な女性だと胸下くらいになる箇所もあるので注意が必要、小柄な方は減水している時に入渓するか、水位がやや高い時はロープ等で確保してもらうと安心だ。
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二の沢付近も緊張する渡渉が続く。
大雪や豪雨の影響か川床が大岩を残し深く掘られているのでスクラム渡渉には向かない箇所がほとんど。
全般にストックを有効に使いショートロープやスリングで補助するのが良いように思える。
人数が多いと時間がかかってしまうので2~4人くらいのパーティ構成が無難。
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ここが第3吊橋跡、ターニングポイントです。
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流れが強いが何とか渡れた。
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後続は1人ずつ引っぱり抱えて通過。
ずっと立ちこんでいたので冷え冷えになってしまいガタブル。
ここを越せた事で行けるモードになった。

この伊藤新道の再開通に第3吊橋の存在は大きかったと思われる。
川幅が狭く水流が強い。平水時であればそう問題ないが増水時の逃げ場がない。
登りは第1吊橋を経てガンダム岩を通過しそれなりに大変な思いをしてここに至ると戻りたくない気持ちになるだろう。ここを通過できれば登れるという意識が高くなりどうしても無理をしてしまう可能性がある。むしろ第1吊橋で無理なら戻る意識になるのだが。
下りも第5吊橋で渡れなければ避難小屋に戻るという選択肢もあるが、何とか通過して下ってくればここさえ渡れれば下れるという意識が強くなり無理をしやすいと考えられる。
つまりこの第3吊橋は入山者の意識としても無理をしやすい上、増水すると困難。単独だとよりリスクが高くなるだろう。
しばらくは吊橋が架けられる事はなさそうなので入山時は水位のチェックは必須、逆に平水であればさほど問題ないと思われる。
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川幅が開けてきた。
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水場で大休止。
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素晴らしい景観を進む。
ワリモ沢出合を過ぎると顕著に減水した。ワリモ沢と湯俣川で1/2に分ける感じ。
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第5吊橋跡を渡渉し赤沢出合まで沢を遡行。
昨シーズンまではここから避難小屋へ登り赤沢へ下るルートが推奨されていたが、2025シーズンは赤沢出合まで遡行し赤沢を登るルートが推奨されている。
第5吊橋跡から赤沢出合までと赤沢出合付近はルーファイが難しかった。水位が高かったせいもあるかもしれないが、避難小屋へ一旦上がる方が無難な感じもする。
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赤沢を登り遡行を終え大休止。
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沢からの取り付きは急登。
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足元には遡行してきた沢が見下ろせる。
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硫黄尾根の向こうに槍が見えた。
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頑張って登っているわたくし。
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展望台からは槍。
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北鎌もバッチリ。
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花や実に癒されつつ登る。
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遠望はバッチリ、雲一つない好天。
雨の中入山したかいがあった。
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三俣山荘に着きテントを張る。
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風が強く寒い。
私はテントを張っている間に冷え切ってしまい具合が悪くなってシュラフに潜り込んでしまった。

ともかく、やや水位が下がった事で予定通り伊藤新道を遡行でき、快晴に恵まれた今日は偶然とはいえ素晴らしかった。
私の雨男パワーを吹っ飛ばしたラッキーガールがいたのかも。