P7260099
teku企画山行で鹿島槍ケ岳へ


日々暑いが山も暑いに違いない。
こんな時は白馬や針ノ木とか雪の上で高度を稼げる山が爽やかで良いのだが今回の山は鹿島槍。
猫耳みたいな山に登りたいそうで・・、土日1泊2日のテント泊です。

例の如く深夜2時半に福島を発、白馬なら北陸、松本なら北関なのだが大町の場合はちょうど間で悩ましい。どちらも大差ないと考え渋滞や事故のリスクが少なく運転も楽な北陸を選択。糸魚川からR148を南下し大町から扇沢へ向かう。
今回の心配は駐車場、シーズンの土日はアルペンルートもかきいれ時。扇沢の駐車場は間違いなく混雑する。
近年登山者の駐車マナーが悪く大型バスがすれ違えないなど問題になっているので注意が必要だ。
幸い市営の第一駐車場が拡幅されており問題なく駐車する事が出来た。ここが一杯になるとかなり下の臨時駐車場からバス利用となってしまう。
P7260006
柏原新道から登りだす。登山口で登山届を提出、今日はもう200人位は登っているそうだ。
1350mから2450mまで1100m登ると種池山荘に至る。
登山口が1350mあればそれなりに涼しいと思うのは甘い。日差しがあるとメチャ暑いのだ。
本当は雷などのリスクもあるのでこの時期は涼しいうちに早出して小屋やテン場に早着の方が良いのだが、福島発の1泊2日だと前日には仕事をしているし車の移動もありそう早く登り出す行程は難しいので日差しが出てから登らざるを得ない。
今シーズンはこれまで重荷を背負っていなかったので大汗で種池山荘に到着、ついついコーラを買ってしまう。
P7260020
昼食休憩の後、冷池山荘へ向けて歩き出す。
と、ここで衝撃の体験をする事になる。
種池山荘から歩き出して15分程行くと登山道上に数人の人が止まっていた。これは雷鳥でもいるのかなと思ったら熊待ちだと言う。
何と親子の熊が登山道をウロウロ、脇の草地を出たり入ったりしていていなくなるのを待っていたのだ。
私もすぐ状況は理解して待ちに入った。この時は熊がすぐいなくなると思っていたのだ。
が、待っていても熊は一向にいなくならない。だんだんと人がたまってきて熊を挟んで登山道の上と下で2~30人にはなっていただろうか。
中には鈴をガラガラと鳴らしたり笛を吹く人もいたが熊は近くをウロつきその場を離れようとしない。
小熊は2頭、草地に見え隠れしている。
上の写真の真ん中の登山道にいる黒いのが親熊、下の写真は親子。
P7260024
こちらがiPhoneで撮影したもの、望遠性能が凄い。
IMG_7792
IMG_7793
最近の高性能なスマホって凄いですね、ミラーレスいらないかも。
私も欲しくなってしまいますが、15万位すると聞くと躊躇してしまいます。

10分程経っただろうか、熊が少し草地に移動したのを見て上から人が降りてきた。こちらからは草地の中の熊の居場所はわかりにくいが、上からはよく確認できるのだと思う。
タイミングを合わせてこちらも登り出す。
P7260038
で、熊の横を通過、いやちょっと近すぎる。寄れる距離ではない。熊なら一瞬で移動できる間合いだ。
しかし、これだけ大勢の人がいて完全に人間の存在を認識しながら全く逃げる気配もない。
これまで何度も山で熊に会っているがこれまでは熊が去ってくれた。この熊はむしろ人に来るなという仕草、子熊を逃がす間をとっている訳でもない。近くの藪に子熊もいるのだ。
東北の山ではいつも熊撃退スプレーを持っているのだが、今回は北アのメジャールートという事もあり持ってきていなかった。が、この時は熊が風上、よほど近づかなくては噴射しても到達しないだろうし自分が浴びるだけだろう。
この後、大勢の人が通り過ぎると再び熊は登山道に出てきた。そして登っていく人を追うように登山道を少し登ってきたのだ。まるで早くあっちへ行けと言わんばかり、そしてうなり声で威嚇したという事だ。私はほぼ先頭の方を登っていたのでうなり声は聞いていないが後ろの方の人は追いかけられたという感じでビビリまくり。
これがこれまでの私の常識を覆す衝撃の体験だった。人を恐れない熊がいる事は認識していたがこれほどとは、まるでウチの子が遊んでるんだからこっちへ来るなという感じ、こんな熊が増えてきたら登山どころではない。この子熊が育ったらどんな熊になるのだろうか。
後から思ったのだが、人さえ我慢すれば他の熊との競合を避けられ子育て環境は良いのかも、オス熊からつけ狙われる事も無さそうだし。
しかし、この状態と言うのはなすすべがない。刺激しないようにそっと通過するしかないのではないかと思う。鈴や笛なんてむしろ鳴らさない方が良い感じ、人の存在は完全に認識しているのだから。

今回の山の印象はこの衝撃の体験に終始してしまい景色や花なんて吹っ飛んでしまった。
P7260048
気を取り直して爺ケ岳を経由、南、中、北を経て冷池へ向かう。
P7260072
先々週登った立山連峰と剣が遠望できる。
暑いせいもあり朝のうちは良いが昼にはガスってきてしまうのは仕方ないだろう。
P7260086
ガスの切れ間から鹿島槍が遠望できた。特徴的な双耳峰だ。
P7260101
ウツボグサやコマクサ、他の花々を見ながら進行。熊に気を取られあまり写真も撮っていない。
P7260103
冷池山荘が見えた。ちょっと上にテン場も見える。
P7260107
小屋で受付を済ませ水を購入しテン場へ、冷池のテン場は小屋からやや離れておりトイレが小屋まで降りなければならないのが欠点。
P7260117
P7260118
いつものようにつまみで腹が一杯になり主食に到達せずに就寝。
P7260129
雷が遠くで聞こえたが雨はパラパラと降ったくらい。
2500mあるテン場で夕方テントの外で半袖で飯を食っていられるなんて異常な暑さ、普通に考えればダウン着ててちょうど良いくらいなのだが、、こんな暑くていいの?熊も高山植物もおかしくなってしまいそう、っていうかもうおかしくなっているのかも。

P7270152
2日目は条件が良ければ鹿島槍北峰までピストンし、テントを撤収して下山の予定。下山の途中も熊が心配です。
P7270157
ヘッドライトで歩き出すがすぐ明るくなりライトをしまう。
立山、剣が神々しい。
P7270158
ジャコウソウなど花や景色を見ながら進行。
サブ行動なので足が軽い。
P7270165
好天で遠望が効き槍穂から南ア、八ツ、富士山まで見通せた。
P7270178
鹿島槍南峰から北峰、五竜方面の眺め。
天候も安定し時間的余裕もあるので予定通り北峰までピストンしてくる事に。
P7270189
南峰からやや下がった箇所で先行の足跡に引かれちょっとラインを外してしまい石を落としてしまった。すぐ気付いて修正したが注意が必要だ。
長野県では山岳ヘルメット着用奨励山域というのを平成25年から呼びかけていて、山やルートを細かく指定している。
https://www.pref.nagano.lg.jp/kankoki/sangaku/helmet.html
北アの北部では不帰の嶮周辺と八峰キレット周辺が指定されていて鹿島槍は南峰、北峰ともに指定はされていないが、落石等のリスクはあるので不要という事ではない。個々に状況を考え判断するべきだろう。
P7270200
北峰から南峰を眺め戻り、五竜のテン場が予約出来て休みがあれば八峰キレットを越して縦走したい所だ。
P7270232
テン場に戻る途中登山道で砂浴びしているライチョウがいた。
今回熊は見たがライチョウは見ておらず、北アは初めてというAさんに見てもらえて良かった。
北ア初めてでテント泊、展望も良くライチョウも見れれば一緒に来たかいがあったというものだ。
P7270243
さらにサービス中、ちょっとガスったタイミングで出てきてくれたのかも。

テントを撤収し冷池、種池を経由し柏原新道を下山。
爺の登り返しが地味に辛い。柏原新道は上部は日が差し暑いが下部は針葉樹で日陰が多く助かりました。
心配していた熊、我々は会いませんでしたが、ほぼ同行程の方はすぐ近くで見たと言っていたので、種池山荘の周辺は要注意!子熊がいるのが非常にマズいと思います。
久しぶりの重荷と日射と暑さでバテバテ汗だくで下山しました。

ここの所日々暑くてエアコン生活、冷たいものばかり飲んで胃腸の調子も悪く暑さに弱い体になっていたのかも。
そろそろ歳も考え、重量級の装備から真面目に軽量化しなければならないと感じましたが、非常装備など使わないけどイザという時必要なものもあり悩ましいですね。
そう考えると人と一緒に行く事でリーダー的な役割を担う事が多く、装備が多くなっているという現実があり、1人で行くとすれば削れるものが多くあるように思えます。
ソロの人が小さなザックで間に合うのはそのせいかもしれません。
ただ、装備不足でギブアップ、救助要請というのは避けたい。せめて1晩ビバークくらいは耐えられる装備や水食糧は外せないように思えます。
我々は登山客ではなく自立した登山者でなければ無謀で迷惑な人達という事になりかねません。

ガイド的山行の時は別として、個人的な山行の時は1+1が2以上になる相手と一緒に行けるよう、それが体力の浪費や荷物の軽量化につながると考え、若手の育成に努めたい所です。
ご参加の皆様、お疲れ様でした。
P7300003
ちなみに今回使ってなかなか良かったのはこちら。ニューハレの靴擦れ防止テープです。
ニューハレといえばVテープやXテープ、テーピングで知られていますが、こちらの商品は程よい大きさにカットされているので面倒なく貼る事ができます。
私は足の親指の下が重荷や固い靴だと痛くなるのですが、今回これを試しに貼ってみたらなかなか感じが良かったです。全く痛くならないという事ではありませんが、皮膚が保護され長持ちするという印象でした。
荷物が重い人は足裏の力のかかっている所が皮膚トラブルをおこす事が多いので長期の山行の時は役に立つかもしれません。なかなか良いと思ったのでご紹介まで。